聡美が不安な顔をこちらに向けた。

 響子さんは笑顔を崩さない。

「いいのよ、わかってるの。恵里ちゃんにもいろいろあるって。でもね、ほら。歩の予定を崩されると、私まで調節しなきゃいけなくなるから……ね?」

 ね?

 って言われても……ね。

「今後は火曜からずらさないようにしてくれない?」

「はぁ。すみませんでした」

 私が棒読みで謝ると、響子さんは笑顔のまま車に乗っていった。

「何? あれ……。超ヤな女」

 聡美のドス黒い声が横から聞こえた。

「歩には天使みたいに優しい女なのよ」

 ため息混じりにそう言うと、聡美は苦笑い。

「地味山が可哀想になってきた……」

 可哀想なんかじゃない。

 歩は幸せそうにしているんだから。

 その後はクリスマスの話で盛り上がりながら、帰路の談話を楽しんだ。