「歌った~!」
カラオケ店を出た私たちは、街の商店街をゆっくりと歩く。
三時間も歌えば、さすがに声はガラガラだ。
「恵里、声裏返ってるし」
「悠晴だって」
笑い合いながら歩く私たちは、周りから見ればカップルに見えるのだろうか。
クリスマスのイルミネーションに飾られた街は、まだまだ人がたくさん行き来している。
中には似合わないブランドの袋を下げている人がちらほら。
きっと彼氏や彼女のクリスマスプレゼントだ。
普段なら遊んでてももう帰路に着く時間だ。
家庭教師をサボってしまった手前、まだ帰る気にはなれない。
「どうする? もう八時過ぎちゃったし、帰るか?」
悠晴も一応時間を気にしてくれている。
「どうしよっかなぁ。サボっちゃったし、帰りづらいよ」
苦笑いをした私を、彼は軽く笑った。