校門の前で、私はたじろいだ。
うそ、これ、彼女?
「初めまして。伊藤響子です」
微笑む彼女は、眩しいくらいにキレイで、上品で、大人。
高そうなコートに、シンプルなブーツ。
化粧も控えめで、でも目がキラキラとしている。
茶色のロングヘアーは同じなのに、私とは色艶が違う。
「桐原恵里です……」
ペコリとお辞儀をした私なんて、歩の言うとおり、見るからにバカかもしれない。
一番驚いたのは、彼女と並んでも制服姿の歩が幼く見えないことだ。
私たちは彼女の運転する車に乗って、近くの喫茶店へ移動した。
「ごめんなさいね。私のワガママで会ってもらっちゃって」
「いえ、とんでもないです」
恐縮する。
まさか、こんなにイイ女だったなんて。