「でも、安心させてやりたいし。彼女だってお前を見れば納得するだろ」

「あら、それってどういう意味かしら、歩さん?」

「見るからにバカそうだから」

「なんだってぇ?」

 はあ、伝わったよ。

 あんたがあたしをどう評価してるか。

 やっぱり彼女とは会いたくないなぁ。

 私を紹介するより、バカにされるために会わされる気がする。

 二人でギャーギャー言い合っていると、ノックもせずに母が部屋に入ってきた。

「仲良しね、二人とも」

 恥ずかしくなってぴたりと言い合いを止め、彼より先にテーブルの前に座った。

「お、すげーいい匂いがする」

 歩は好青年顔になって私の向かいに座った。

 憎たらしい、はず。

「でしょう? マドレーヌよ。焼きたてなの」

「おばさんが焼いたの? すげー」

 猫かぶり野郎め。

 どうせ彼女の前でもそうなんだ。