「メールできない男はモテないんだよ?」

 こう言うと、歩はフッと笑った。

「そうだな」

 素直に認められると、不安になる。

 てっきりいつもみたいに、言い返してくると思ってたのに。

「恵里にもこっ酷く振られたわけだし」

 ズキッ――

 そんなつもり、私にはなかったのに。

「別に、振ったつもりじゃ……」

「え? そうなの?」

 歩の驚いた声と共に、窓の開く音がした。

 カーテンをめくると、携帯片手にこちらを見ている歩がいる。

 影ではない。

 私も窓を開け、歩と向き合った。

 会話だけは、電話越しだ。

「ねえ、俺のこと振ったわけじゃないの?」

 生声から少しだけ遅れて携帯からも声がする。

「いや、だから……あの時は……ね」

「意味わかんねえ。ちゃんと説明しろ」