私は今まで、何度この窓から彼の存在を確認しただろうか。

 距離で言えば2~3メートル。

 二枚の壁で遮られていた私たちは、実はこんなに近くにいたんだ。

 手を伸ばしても届かない。

 目を凝らしても見えない。

 だけど、会おうと思えばいつでも会える距離。

 そんな影の正体。

 お隣さん。幼馴染。

 そんな彼の18歳の誕生日。

 0時0分に送信されたメールは、無事に届いただろうか――。



 窓の影が、動く。

 動いて薄くなった。

 それから約2~3分くらい経っただろうか。

 私の携帯が震えだした。

 カーテンから手を離し、携帯を確認する。

 歩からの返信だった。

〈ありがとう。響子さんは元気だった?〉