再び雑誌を読み始める。

 コチ コチ コチ……

 ベッドに置いてある目覚まし時計の秒針の音が、やけに響く。

 それでもしばらくは雑誌のコラムなどを読んだ。

 コチ コチ コチ……

 雑誌に集中できない。

 時間を見ると、0時まであと10分というところだった。

「しょうがないなぁ」

 響子さんか、歩か、自分か……誰に宛てたものかも定まらない言葉を漏らし、再び携帯を握る。


  To 西山 歩

  no title

  誕生日おめでとう。



  今日たまたま響子さんに会って、そう伝えるように言われました。


 打ったり消したりしながらこれだけ打ち終わったところで、時計の表示が0時になった。