カーテンをそっと開けてみた。

 窓の左下に、いつもの影。

 勉強をしているのだろうか。

 カーテンを閉じて、椅子に座る。

 ふと数学の参考書が目に入った。

 そういえば、私は歩にもらってばかりだ。

 この参考書、軟骨用のピアス、数学の解き方のコツ……。

 おめでとうの言葉くらい、あげてみようかなぁ。

 いやいや、今更私からなんて無理。

 でも響子さんから頼まれちゃったし……。

 ジレンマに襲われた状態は長く続き、私はとりあえずメールだけでも作成してみることにした。

  To 西山 歩

  no title

  誕生日おめでとう

 さすがにこれだけでは素っ気ないだろうか。

 しかし続きを打とうにも、先が思いつかない。