「お隣さんで、いつも一緒にいたから……」
私がコーヒーをすすった時、響子さんにも新しく紅茶が運ばれてきた。
それにまたたっぷりとミルクを入れて、四回かき混ぜる。
「恵里ちゃんはカメラに向かってピースしてる写真が多かったけど、歩のカメラ目線って半分くらいしかなかったの」
「そうでしたっけ?」
二人で写っている写真は、うちにもある。
当時の写真なんてもう何年も見ていないし、歩の視線の先なんて意識して見たこともない。
「歩はね、半分以上恵里ちゃんの方を向いてたの」
「え?」
「ふふ。きっと恵里ちゃんのこと大好きだったんだろうね」
ドク ドク ドク……
響子さん、まさか……気付いてる……?
「もう十年以上前の写真だったのに、あたし嫉妬しちゃった」
私は何もコメントできなかった。
ただ緊張で鼓動が早くなって、落ち着かない。
そんな私に、響子さんは再び笑顔を向けた。
「あ、そうそう。恵里ちゃんにお願いがあるの」