翌火曜日。

 この日は先に風呂に入らず、化粧を直し、部屋着ではなく出かけるときの服を着た。

 なんとなく歩と差があってはいけないと思った。

 母の甲高い声が聞こえて、階段を下りる。

 玄関には今日も爽やかに微笑んでいる歩がいた。

 足音で私に気付いた歩がこちらを向く。

 フッ

 笑われたような気がした。

 微笑みではない。

 嘲笑だ。

 その時、トイレに入っていた父が登場。

「あ、おじさん。久しぶり」

「久しぶりだね。恵里を頼むよ」

「うん、頑張る」

 爽やかな笑顔に戻った。

 さっきの「フッ」は何だったわけ?

 今日も押し込まれるように私の部屋へ入ると、紺色のジャケットをベッドへと放っている。

 そして第一声。

「何で今日は気合い入ってんの?」