岐路に着いたのは、夕方7時過ぎ。

 バスを待って、乗って、そろそろ家だという頃には8時前だった。

 我が家まであと5メートルというところで、その先の西山家のドアが開いた。

 そこから出てきた人物に、思わず息を飲む。

 歩と……清楚で真面目そうな、南高の制服を着た女の子。

 私は自宅に到着し、門を抜けて扉を開く。

 ちょうどその時、二人は私の後ろを通っていった。

 ガチャ

 ドアを閉め、施錠をする。

 ドク ドク ドク……

「たっ、ただいまぁ」

 さっきのシーンを振り切ってしまいたくて、いつもより大きな声を出す。

 でも頭から離れてくれない。

 こんなこと、前にもあった。

 響子さんとのキスシーンを見たときだ。

 歩が、また別の女と一緒にいた。

 きっと歩も次に進んでるんだ。

 立ち止まっているのは、私だけなのかもしれない。