どっぷり反省をしていた6月、私は用事があって、久しぶりに街へと足を伸ばした。
街は変わらずに人が行き交い、まるで私の存在を隠してくれているような気になる。
聡美と別れ、用事のあるビルへと向かう。
どうか、今日は悠晴がいませんように……。
今彼と会ったって、合わせる顔がない。
柄にもなく神頼み。
しかし神は悪者に罰を与えるもの――。
祈りも虚しく、小懐かしい八重歯の美男子が、人の群で見え隠れしているのに気付いてしまった。
目的地にたどり着くためには、彼の前を通る必要がある。
一瞬足がすくんだ。
でも、逃げるわけには行かない。
彼の様子がよくわかるようになった頃、私は彼と向き合っている女の存在に気付いた。