「いい加減にすれば? マジ近所迷惑」

 そう言う私の声も、住宅地にこだまする。

 二人は一旦顔を見合わせて、すぐに逸らした。

 二人を叩いた右手がジンジン痛む。

 それが鬱陶しくて、ギュッと拳を握った。

 右手は余計に痛くなった。

「もういい。わかった。今ここで答えを出す」

「おい、それって……」

 不安げな声を出した悠晴を睨み、視線で一喝。

 無言の歩にも、同じように一喝した。

 一旦ため息をつき、自分を落ち着かせた。

 歩の顔を見て、一言。

「嫌い」

 次に悠晴の顔を見て、一言。

「信じてくれない彼氏なら、いらない」

 何も言わない二人。

 私は踵を返して、自宅へと足を進めた。

「恵里!」

 聞こえたのは、悠晴の声。

「二人とも、もう私に構わないで」