メール画面を開き、文を作ってみる。

 なかなか上手に弁解の言葉が思いつかない。

 打っては消し、打っては消し……。

 未だかつて、こんなに悩んでメールを打ったことはない。

 30分粘ってみても一向に完成しないメールを諦め、終話ボタンを押してメール画面を閉じた。

 変わりに開いたのは、アドレス帳。

〈西山 歩〉

 三秒ほど眺めて、通話ボタンを押した……。

 歩が出たのは、2コール目。

「もしもし、恵里? どうした?」

 いつも通りのトーン。

 改めて謝ろうと思うと、緊張する。

「あのね、あたしね。えっと、なんていうか……」

 上手く言葉を発せない。

 カラカラカラ……

 窓の開く音がした。

「何だよ。言ってみ?」

 私も窓を開け、2~3メートル先の歩と向き合う形になった。

 でも、会話は電話越し。