やっぱり自分は響子さんの代わりなんだという確信が得られて、だんだん腹が立ってきた。

「どれくらいロンドンにいるの?」

「来年の夏にはこっちの大学に戻るらしいよ」

 長い。

 これから一年以上も離れ離れになるなんて、しかも携帯も通じない外国に行くなんて……普通のカップルなら耐えられないと思う。

 響子さんと別れたと聞いたとき、私はすっかり冷静さを失っていて、その理由を聞くことはしなかった。

 まさか留学だなんて思わなかったし、二人が上手くいかなくなった話なんて聞きたくなかった。

 想定外の理由に、なんだか気が抜けてしまう。

「だからあの二人、別れたんだね」

 私がため息交じりに漏らすと、春樹君は首を傾げる。

「え、そうかな?」

「そうだよ。歩、3月ごろからおかしかったもん。遠くに行っちゃうなら、別れても仕方ないよね」

 これを聞いた春樹君の顔が、変わった。

 今度は私が首を傾げる。