子犬のような彼氏を手に入れた私は、自分が大人になったような清々しさを感じていた。

 まるで悠晴を所有したような、支配したような、そんな少しいやらしい感覚だ。

 もしかしたら響子さんも歩を同じように思っているのではないだろうか。



 そして迎えた、二月の第一火曜日。

「お前……どうしちゃったの?」

 気の抜けるような歩の一言に、私は首を傾げた。

「どういう意味よ?」

「だって、これ正解……」

 バシッ!

 それが厭味だったとわかり、頭をはたく。

 我ながら良い音がした。

「ってーな!」

「あたしだってダテに毎週勉強してるわけじゃないっつーの」

 私たちが一つになってまだ四日。

 相変わらずの授業が繰り広げられた。

 しかしたまにこんな冗談も。

「お前、あの時に俺の脳ミソも食っただろ」

「脳ミソ“も”ってどういう意味よ?」