私たちは明るくなるまで甘い時間を過ごした。

 早朝、五時。

 裸のまま眠ってしまった歩を起こさないように服を着る。

 髪を手で押さえて、寝ている歩に最後のキスをした。

 ありがとう、歩。

 物音を立てないように西山家を出て、自宅に帰る。

 部屋に入るなり目覚ましをかけて、ベッドに入った。

 布団が冷たい。

 さっきまで歩の温もりを感じていたのに……。

 甘い夢から覚めるため、私は眠りにつく。

 寝返りを打つと自分から歩と同じ匂いがした。

 それが嬉しくも切なくもあった。



 目覚ましで正午に目を覚ました私は、あくびをしながら浴室へ。

 歩に抱かれたままの体で悠晴に会うなんて、さすがにマズいと思った。

 軽くシャワーを浴び、バスタオルで体を拭っていた時。

「あれ?」

 左の胸元に、赤い印。

 夢へとトリップさせる魔法のボタン。

 その名も、キスマーク。