歩の唇はやがて少しずつ下へ移動する。

 身に付けているも徐々に減っていった。

 甘美な刺激も、燃えるような恥ずかしさも、全てが快感へと変わっていく。

 いつの間にか歩も服を脱いでおり、切ない表情との組み合わせに体の芯が疼いた。

「恵里、好きって言えよ」

 いつもはムカつく偉そうな口調も、確実に私の心を捕らえる。

「好き」

 歩の両親にこの状況がバレないように、小さな声で言った。

「誰が? 俺? それともあいつ? ちゃんと言って。今だけでいいから……」

 余裕のない声が、涙腺まで刺激する。

「歩が好き」

「もっと言って」

「歩、好き……」

 私が好きと言う度に、歩は疼きに応えてくれる。

「歩は……?」

「俺も、恵里が好き」

 今だけだとはわかっていながら、心は幸せな気持ちでいっぱいになった。

 もう明日からのことなんてどうでも良くなってしまうくらいに。