頭から足の先まで響く鼓動を押さえ込み、身を硬くする。

「何で歩が納得いかないのよ」

 小さく言うと、歩ははっとしたようにごめんと言って起き上がり、ベッドの端に座り直した。

 私も体を起こし、歩とは反対側に座る。

「俺がこんなに自分勝手なのが納得いかねえんだ」

 そう言って膝に顔を埋めた。

「彼女がいる、なのに恵里も好きで。響子さんと別れたくないのに、恵里が他のやつに取られるのも嫌だし」

「ほんと、自分勝手」

 悪態づくと、歩の顔がこちらを向いた。

「全部お前が悪い」

「何でよ?」

「俺のこと好きになるから」

「あんたが優柔不断なのがいけないんでしょ?」

「……わかってるよ」

 わかってるなら、あたしのせいにしないでよ。

 何よこれ。

 歩が私のことを好きになってくれたのに、なんだかすごく悲しい。