歩はあの日のことを、冷やかしは一切入れずに語った――。



 お前、この部屋に入った瞬間、急に泣き出して俺に抱きついてきた。

「響子さんのこと、好きなの?」

「好きだから付き合ってるんだよ」

 そしたら更に泣き出して……

「あたしのこと嫌いなんでしょ?」

「はぁ? 何言ってんの」

「やっぱ嫌いなんだぁ」

「おい、恵里……」

「あたしは歩のこと、こんなに好きなのにぃ」

「はいはい、わかったから。俺も好きだよ」

 その時は酔っぱらいの戯れ言だと思って流したよ。

 そしたら今度は服を脱ぎだして……やめろって言っても腕を押さえても、下着になるまで脱いじゃって。

「好きなら歩のモノにして」

 って言ってまた抱きついてきた。

「好きってそういう意味じゃないから。服着ろって」