歩か悠晴か……答えは出ないまま、時間だけが過ぎていった。

 歩とはいつも通りギャーギャー言いながら勉強をした。

「バーカ! だから50点しか取れなかったんだよ!」

「あんたの教え方でしょー! いいから続き教えなさいよ!」

 悠晴ともたまに街で顔を合わせ、アピール攻撃に遭う。

「恵里、チューしていい?」

「もう、何言ってんの」


 歩に会えば、微かな希望が膨らんだように思える。

 悠晴に会えば、彼の良さがわかっていく。

 一進一退しながら、私の葛藤は続いた。

 そして……。

 状況、態度、会う頻度。

 私の気持ちは、日が経つにつれ悠晴に傾いていった。

 歩への気持ちは変わらない。

 ただ、諦めがついてきたのだ。

 望みのない歩に片思いをするより、私を好いてくれている悠晴と一緒にいる方が青春を謳歌できるような気がする……と。