「地味山の方は、望みあるの?」
「……ないと思う」
「じゃ、付き合っちゃえば?」
簡単に言わないでよ……。
悠晴がダメだということではない。
歩を好きな状態で、悠晴と付き合うのは気が引けるというわけでもない。
ただ、歩が近い存在になり過ぎて、もしかしたらチャンスがあるんじゃないかなんて思ってしまっているのだ。
忘れたい一方で捨てれない希望。
自分がこんなに優柔不断だったとは意外だ。
こんなに悩みたくないのに、全部歩のせいだ。
「あたしは変な期待、しないほうがいいと思うよ」
さすがは聡美。
私の心を読めるかのような一言。
「だよねぇ」
机に突っ伏してため息をつくと、聡美は渋い顔をした。