今日のおやつは母特製のパウンドケーキ。

「おばさんって、お菓子作り上手いよな」

「まあ、趣味みたいなもんだからね」

 まだ温かいケーキは普段は作らないレモン風味だった。

 歩のために気合が入っているのだろう。

 しばしの休憩に私はベッドへダイブした。

「あ! 俺も寝ようと思ったのに」

 不満を漏らす歩。

「人のベッドで寝ないでよ」

「それ、お前が言うか?」

 くっ……。

 ぶり返しやがって。

「あんたは仕事中でしょ」

「お前も勉強中だっての」

 そのまま床に寝転び、当然だが私のベッドには入らない。

 昼下がり、暖房の効いた部屋、窓から射す光。

 私たちは、いつの間にか夢の中へ――。