冬休みだからか明るく染められた髪と八重歯が眩しい。
私は笑顔を作った。
「実はあの日、記憶飛んじゃってさ」
「マジ? 俺ほど酔ってなかったのに」
「バスを降りたあたりまでは覚えてるんだけど。だから、あんまり悠晴のこと言えないなって思って」
「はは、それもそうだな」
悠晴は記憶が飛んだ経験はないらしい。
だから懲りずにガブガブ飲んでいたのかも。
順番が来て、握っていた五円玉を賽銭箱に投げ入れた。
お辞儀して、二回手を打って、心の中で念じる。
「歩に気持ちがバレてませんように……」
元旦は店もほとんど閉まっているし、悠晴はおばあちゃんの家にお年玉をもらいに行くとかで、明るいけどそのまま神社の前で解散。
私も帰ろうかという時、春樹君に呼び止められた。