でも私はあなたの涙を拭いてあげられないの。
自分の涙でさえ拭けないから。


「…私はこの子じゃない。花本妃菜子なの。何かに追い詰められているのなら、醒まして欲しいから。それに犠牲になったのは髪の毛だっただけ。ただそれだけよ」




「…俺は…アイツを守れなかったから。…もう帰って?一人にして。ごめん…」





「分かった」




私は左手の髪の毛をゴミ箱に捨てた。
そして皐の部屋を飛び出した。

青かった空は少しだけ濁っていた。
私と皐の心の色を表しているよう。


今日の心の天気は…
雨のち…豪雨でしょう…。





私は一体何ができるのでしょうか。
未熟な私に、誰を守れるのでしょうか。


精一杯な感情をどこにぶつけたらいいの?



椿に分かる?
教えてくれる?




「会いたいよ、椿…」




早く会いたいよ。
短くなった私の髪の毛をあなたは気に入ってくれるかな。





明日、会いにいくよ。