まさか、嘘でしょう?
早く、嘘だと言ってよ。



そんなわけ…ないもの。



世界が、動いていた世界が止まった気がした。
弘樹が皐だと呼んだ人が、椿にとてもよく似ていた。
雰囲気だけなら「しょうがない」と納得できるかもしれない。
だけど雰囲気だけではなく、顔のつくり、瞳の形、肌の色。
目立つ部分は瓜二つだった。

私の記憶の中の椿は半年前で止まっているが、半年経つとこんな感じに成長していると想像できてしまう。


それくらい…似ていたの。




「弘樹、お前どこに言ってたんだよ?」




「はぁ?お前が自転車で引いたこの子を助けてやってたんだよ!」





耳から聞こえる皐の声。
嫌になる。
声までそっくりだなんて。




スカートをぎゅっと握りしめ、白い教室の床を凝視した。
込み上げてくる涙を必死におさえて。





私だって会いたいのに…



今目の前にいるのは偽物。