「本当ごめんね、わざとじゃないんだ。皐がさ…あ、皐って運転してた奴なんだけど…そいつ無茶ばっかするから…」
「…大丈夫です…本当に」
「女の子に傷つけるとか本当に最低だよ、俺。その傷治らなかったら俺のこと恨んでいいから!煮るなり焼くなりしてくれて全然いいからね」
この人はわざとふざけたことを言っているのだろうか?
いや…わざとではない?
もしかして本心?
保健室と書かれた矢印をあてにして向かっていく。
「あ、俺、青山弘樹(あおやま ひろき)って言うんだ。君は?」
「花本…妃菜子…」
「妃菜子ちゃんね。覚えておく。あ!着いた!」
透明な板に“保健室”の文字。弘樹は保健室のドアを開けて先生を探した。
「先生ー急患ー!早く手当してあげて!」
静かすぎる保健室に響く声。
すると奥から年配の女の先生が出てきた。