私は便箋を開いてそれを歩きながら読んでいく。




“久しぶり。元気にしていますか?俺は今少年院にいます。あれから沢山考えたんだ。
今さらこんなことを言っても妃菜子は信じてくれるかわからないけど…。
本当に妃菜子が大事だったから、どうしても守りたかった。”




文面からは椿の想いが溢れていた。
私は唇を噛みながら読み進めていく。





“だからお願いだよ。
俺に会いに来て。面会許可がおりたから。妃菜子に会いたい。妃菜子は俺に会いたくないかもしれないけど、俺は会いたいんだ。ものすごく会いたいんだ。”




最後の方になるにつれ私の涙腺は崩壊した。




「椿…」





立ち止まって涙を拭う。
私も会いたい。



あなたに、会いたい。




神様、お願いです。



この春風に乗せて、私を椿のいる場所まで連れていってください。