母親に殴られても、体に傷を負っても、あなたの傍にいられることさえ出来たらそれで幸せだったのに。
欲が芽生えてしまったの。

あなたを、私のモノにしたかった。




「…いつから、母親から虐待をされていたのかな？」




刑事さんの発言を聞いて少し躊躇ってしまう私。
母親がしてきたことは、虐待なのだろうか。
言い換えた方がいいのかもしれない。
彼女はきっと、ストレス解消を私に向けてしていたのだから。



「私は母親にとってどんな存在だったのか…自分でもわかりません…でも私は…」





きっとこう強く言える自信があった。
母親を失ってから気付いた本当の気持ち。




「…お母さんが大好きでした」





だから殴られても、蹴られても平気だったのかもしれない。
この気持ちがあったからこそ、私は今まで生きてこられたのだと、勝手に信じてはいけませんか。





「話しの途中にすいません、今父親と連絡がつきました。今からこっちに向かうそうです」