そう思ったらどこか笑えてしまった。
「君の名前は…花本妃菜子さんだね?九条椿くんとの関係は?」
始まる事情聴取。
バックミュージックは豪雨。
なんて魅力的なの、とロッカーは言うかしら。
「椿とは幼なじみで…恋人です。私の大事な恋人です。椿は無実です…!私を…私を助けてくれたんです…母親から守って…くれた…んです…」
泣いて訴えれば許されると思った私は馬鹿でした。
そんなこと許されるわけがないのに。
どれだけ泣いても椿は私にはもう触れない。
交ざり合う泣き声。
部屋に響く音がまた新しい音楽を生んだ。
椿、あなたは人を殺したことに後悔はしてますか?
椿、あなたは私を愛したことに後悔はしてますか?
そう聞きたいのに…聞けないの。
声も、温もりも、笑顔も。
もう無くなってしまったの。