ごめんね、椿。
私があんなこと言わなければ良かったのに…。
「刑事さん、いつかまた椿と会わせてね…」
「約束するよ」
静かなパトカーの中で漏らした言葉を刑事さんは理解してくれたでしょうか。
私はまた椿に会わなくちゃいけないの。
キスの続きをしたいから。
あんなキスを残して離れるのなんて嫌よ。
でも椿は、最後まで勇気者だった。
椿の運命を知るのは随分と先の未来…。
警察署に着き、今回の事件のことを細かく聞かれた。
事情聴取。
小さな部屋に年配の刑事さんと二人きり。
椿は加害者。つまり容疑者。
私は被害者。
恋人から、変わってしまった関係。
母親は病院に運ばれたが、死亡が確認された。
椿が刺した包丁が心臓までいっていたらしい。
椿は刺したとき、何を考えていたのだろう。
気になって仕方がなかった。
そして今回の事件で浮き上がってきたもう一つの事件。
それは虐待。