私は何も椿にしてあげられなかった。
守ることさえ、気持ちを伝えることでさえ。
椿の人生を滅茶苦茶にしたのは私だ。
私がすべて悪い。
「君も警察署へ行こうか。話しを聞くために」
私の肩に触れたのはまだ若い新人の刑事だった。
一歩一歩、部屋から出ていく。後ろでは母親の遺体を調べていた。
「あの…椿は死刑になりますか?」
玄関に向かう途中、私の口からはこんな言葉が飛び出た。
その質問に答える新人刑事。
「未成年の殺人の場合、死刑かどうかは事情聴取をしてみないと分からない。でもそれなりの刑は下されるよ」
「そう…ですか…」
下を向いて歩いていく。
玄関の前にはパトカーとそれを不思議そうに見る野次馬たちで溢れていた。
椿、私はずっとずっと待っているから。
強く生きていくから。
また会えたら、あの続きをしよう。
大好きよ、椿。
愛してるよ…ずっと。