戻ってきて。
やり直そうよ。
椿、大好きだよ。
ずっと…
「…ちっ。覚えときなさいよ」
玲奈は舌打ちをして校舎の中に入っていった。
追うように私も入っていく。
教室につくとアナウンスの声に従うように生徒たちは担任の先生の話に耳を傾けた。
「台風がこの地域に近づいてきたので学校は休校になります。気を付けて帰るように。明日についてはテレビ等見て判断してください。プリント回します」
先生の発言に対して喜ぶ生徒たちが多数。
私は近づく台風よりも、椿の方が心配だった。
プリントをもらった瞬間、教室は椅子の引く音で溢れていく。
いなくなる人間。
プリントをくしゃっと鞄にしまい、ため息を漏らした。
またあの家に帰らなくちゃいけないのか。
嫌だなぁ。
でも学校に椿がいないのはもっと嫌かも。
来たばかりの学校をあとにする。