もし気づいていたらもっと早く対応できたのかな。
それでも遅かったのかな。
あなたは前からそういう決断をしていたのかな。
答えてよ。
彼岸花の花言葉に託さないで、私の目を見て言ってよ…お願いだから。
「妃菜子は椿を待つんだろ?じゃあその間、俺は妃菜子を支えるから」
「私は…私は皐の前ではどうしていたらいいの?そんなの申し訳ないよ…」
皐は一歩近寄り、私の瞳を見た。
その瞳には何の迷いも感じられなかった。
吸い込まれていく強い眼差し。私は呼吸できなくなる。
「俺の前では笑っていて欲しい。泣き顔はもう見たくない。あと隠し事も。他に隠し事してない?」
約束するよ。
あなたの前ではもう泣かない。ずっと笑っているから。
「…私、人参入り焼きそば以外料理できないの…」
「何だよ!それ。料理なんて今から覚えていけばいいっつの!」
無邪気な笑顔。
皐には笑顔がとても似合う。
私は美波皐という人間をちゃんと見ようと思う。