彼岸花の花言葉。
“想うのはあなた一人”
知っていますか?
彼岸花の花言葉にはまだ他の意味があるのを。
私は知らなかった。
お彼岸の日に咲く彼岸花は世間では嫌われていた。
まるで私のようだった。
でも彼岸花は真っ直ぐ咲いていた。
強く、生きるように。
私もそうやって生きていきたい。
あなたがそう言ったように。
私と椿の関係。
真っ赤な血を流しながら死んでいく母親。
彼岸花の花言葉。
激しい豪雨。
ロッカーのように激しく唄う世界。
それはまるで妄想のような世界だったけど、妄想の世界ではなかった。
すべて、現実の世界で起こった事件。
私は震える唇ですべてを話した。
皐は黙ってそれを聞いてくれた。
涙を流して。
皐が泣いていると気付いたのは月がそれに反射したせい。
私たちは弱虫だった。
だけど懸命に生きようとしていた。