窓を開けると心地よい風が吹いてきた。
風が髪の毛の間をすり抜けていく。



ベランダに下りて、手すりに手をかけながら空を見つめた。


リュウ…教えてくれてありがとう。
こんなにも綺麗な月を見たのは初めてだよ。
なんだか…落ち着く。
悩んでいたことが一気に吹き飛ぶ感じ…。
前もこんなことあった。
その時は皐が誘ってくれたよね。
あの時より、今の方が綺麗かな?
それはちょっと私には分からない。
あなたと見る夜空はいつも綺麗だったから…




「…会って話がしたいよ…」




聞いてくれるか分からないけれど、もう関わるなって言われたけど…もう一度信じて欲しいと願う私は勝手なのでしょうか。


次第に涙が零れる。
私…泣いてばっかりだ。
全然強くならないよ。
どうやったら強くなるの?
強く…なりたいのに。





そんな時だった。






「…何してんの?また泣いてんの?」





声の犯人は…あなただった。