訪れる夜。
輝く星たちを連れて私の前へと現れてくれた。
私はそれを見て切なくなる。




寂しい、一人は嫌だよ。

会いたい、誰かに。


誰かに無性に会いたい。



それは…。




「…会いたいよ、皐…」




携帯を開け、メモリを見る。
登録された皐の番号。
私はそれを見ながら携帯をぎゅっと握った。
どうしようもできない自分に腹が立つ。
そういえば弘樹が言っていたことを思い出した。
皐に連絡しても返ってこない、と。
だったら私からしても意味がない。
返ってこなくちゃ…会えないのだから。


意味のなくなった携帯を鞄の中にしまう。



まだ明るいうちに家へと帰ろう。
月が道を照らしてくれている間に、帰ろう。
道を踏み外さないように。




ため息をつけばつくほど、突きつけられている現実に嫌気がさす。
どうしてもっと要領よく進まないのだろう。




ねぇ、椿?
あなたが言っていた「運命は複雑にできている」ってこのことなのかな?