昔の私たちはライバルだった。お互いを憎み、嫌い、嫉妬してきた。
でも今、玲奈は自分の恋愛状況を私に話してくれている。
どうして言えたのだろう。
昔はどうして言えなかったのだろう。




「去年はまともにこうやって話したことなかったけど、何で今は話すことができるのかな。」



玲奈の目を真っ直ぐ見つめると玲奈も私の目を見てくれた。
視線を合わすのはいつぶり?
もしかしたら初めてかもしれない。




「…去年のあたしたちは子供すぎたのよ。今は少し大人になったってことじゃない?」




「そう…なのかな」





「…あたしバイト始まるから、もうそろそろ行く。皐くんに会えるといいね」




そう言って玲奈は店のドアにかけてあった小さな看板を“OPEN”にした。





「…リュウくんが今日は月が綺麗だって言ってたよ」




「何それ?伝言?」




「ただそう言ってただけ。じゃあ、帰るね」




最後に玲奈に向かって笑顔を見せる。
すると玲奈も微笑んでくれた。


こうやって玲奈と話せることができたのは、私たちが大人になったから。
昔は子供すぎたんだ。




空を見上げるとリュウの言っていたことは当たっていた。





今日は、満天の星空と輝く満月。






「…皐…会いたい。」






あなたに、会いたい。