その表情はまるで死んだ魚のようだった。
だから私に殺せといったのだろうか。

もう嫌になる。
こんな生活。こんな世界。
私の人生はいつまで暗闇?
早く抜け出したいよ。

今の状況が耐えられなくなった私は勢いよく駆け出した。
この暗い部屋から飛び出したんだ。


「椿…!」


心でこう叫んだところで何になるのかな。
私の消えそうな声に気づいてくれはしないのに。
バカよね。そんなの知ってる。
あの温かい手も、優しい言葉も、笑顔も…
きっと嘘なのよ。
私がボロボロだから気のかけてくれるだけ。

自分の部屋に閉じこもった。
ばたん、と閉まる音に酷く恐怖心を抱いた。

まだ流れる涙。
窓からは暗闇に浮かぶ月が存在していた。
でもそれは今にでも消えそうだった。


痛いと訴える体。
先ほど掴まれた首が苦しい。
上手く呼吸ができない。


助けてください、と言ったら助けてくれますか?


翌日の台風の日を忘れないよ。
あなたがくれたモノと、守ってくれた命。


「強く生きろ」と言ったあなたを…


ずっと、ずっと。



椿は暗闇に咲いた一輪の花だから。