リュウの言っていることはおかしくはなかった。
私もその一人。
アドレスに名前を入れているから。
“hinako”と。
でもリュウが知っているのはそれだけではないと思う。
青い瞳の奥では一体何を考えているのか。
そこまでは読むことなどできない。




「それだけじゃないでしょ?あなたは皐の何?」




「僕はさつきを知らないし、興味ないよ。僕が興味あるのは僕を指示してくれる人…かな」




余計意味が分からない。
頭がずきんと痛くなる。
こう言って可愛らしい笑顔を見せるリュウを私はなぜか憎くはなかった。
なんでかな、あまりにも笑顔が可愛かったからかな。
笑顔が天使のようだったからかな。

もう考えるのはやめよう。




「…もうこれ以上聞かないでおくね。頭痛くなっちゃう。私…帰るね。」




そう言ってその場を去ろうとた瞬間、後ろから手を掴まれた。




この温もりは…皐じゃない。