時が止まった。
いや、もしくは一秒が長くなったか。
周りの光景がストップしたように感じる。
動くのは目の前の少年と私の心臓だけ。
なぜ彼の口から「皐」という言葉が出たのか。
皐を知ってるのか?
なんだか嫌な予感がする。
逃げてしまおうかと考えたけれどこの青い瞳がそうはさせてくれなかった。
「僕の名前は、葉月(はづき)リュウ。この近くの私立高校に通ってる。そんな驚くことかな?僕がさつきと言っただけで」
葉月リュウ。
それが彼の名前だった。
ここから近い私立高校は…超がつく金持ちしか通えないと有名だ。
だからオーラが少しみんなと違うのね。
近寄りがたい感じ。
鼻につく感じ。
私の苦手な人物かもしれない。
「…なぜあなたはさつきを?」
「唐突だね。僕がなぜ知ってるかなんて簡単な話だよ。拾ったアドレスにさつきと名前が入っていたから。よくいるじゃん。自分のアドレスに名前いれてる人。」