確か…母親に引き取られたはずじゃ…
弘樹たちに確認したくても二人は皐の過去なんて知らないし…
もし聞いたとして「何で妃菜子ちゃんが知ってるの?」と聞かれそうだし。
やめておこう。

離婚して離れてしまった父親に会うのはおかしい話ではない。当たり前か。
私だって離婚した父親に引き取られたのだから。



やめよ、考えるのは。




「弘樹くん、小絵ちゃん。私も帰るね。バイバイ!」




二人に手を振って教室を出ていく。
外を出るとオレンジ色の真下に自分が存在する。
朝は曇っていたのに…良かった晴れて。
空まで暗かったら嫌だから。




駅に向かって歩いていく。
今日の晩御飯は何にしような。無性に唐揚げ食べたいかも。
でも自分で揚げるのは嫌だし…




「あ…」



すると前から声が聞こえた。
晩御飯のメニューに夢中だった私の脳は切り替えるまで少し時間がかかった。