近すぎて、分からなくなる。
遠すぎて、求めたくなる。


恋愛は不思議だ。
近くにいるから自分の気持ちは見失わないのだと思っていた。でもそれは違うときもある。
近くにいすぎて分からなくなる時だってあるんだ。


私は分からなくなっていた。





「まぁ良かったじゃん?仲良くしろよ?お前らいつも喧嘩してるからさ。あ…そろそろ授業始まる」




「うるせぇよ。とにかくまじで二人には感謝してるから今度何か奢らさせてもらいます!!」




ピースサインをして私たちに向けてくる弘樹と小絵。
もう息ぴったりだ。




「僕、焼き肉がいいな」




今の絶対語尾にハートマークついてた。




「皐、ふざけんな。」




弘樹は皐の頭を叩き、席に向かった。
小絵は私の前に座り、小声で「ありがとう」と言った。
なんか、久しぶりかも。





「ありがとう」と言われるの。