皐の言葉が体中を駆け巡った。そして涙腺を刺激して瞳を潤した。
隠すように咄嗟に上を見る。
あ、太陽が顔を出した。
きっと小絵は泣いているだろう。
それか笑ってるかな。
告白はとても勇気のいること。私は告白なんてしたことないし、しようと思っても勇気がない。
だから小絵に尊敬をする。
気持ちを伝えるのも聞くのも勇気のいること。
怖いよね、すごく。
でも伝えた先には何かがあるから、伝えよう。
だから椿に言ってみようかな。
ただ一言“好きです”と。
裏庭に弘樹と小絵を残して、校舎に入っていく私と皐。
「弘樹、大丈夫かな?ちゃんと言えればいいけど」
「…どうかな。でも二人には幸せになってもらいたい。」
「俺は?妃菜子は俺に幸せになって欲しいって思わないの?」
急に歩くのをやめて私の顔を見つめ、こう質問してきた皐。
廊下から伝わる冷たい空気が唇の動きを阻止した。