なかなか踏み出そうとしない弘樹に、私は後ろから背中を押した。
人間は誰かの手助けがないと前に進めない生き物だから。




「ちょ…妃菜子ちゃん…」





「もう隠しても無駄だよ?今言うしかないと思うな」




こう言って笑ってみせる。
自然に笑えたのは久しぶりだった。




「弘樹、俺にここまでさせんなよ。あとで何かおごれよな?」



「皐!お前何言うんだよ?俺は…小絵が皐に告白するとこを…見に来ただけだ」




皐は弘樹に近寄り、にっこりと笑顔を浮かべる。




「あれ?俺は今日何でここに来たんだっけ?あぁ、弘樹が小絵に告白するため協力しに来たんだった」





何かを思い出したときのお決まりポーズをする皐。
そんな皐にどこか笑えた。
弘樹の顔がみるみるうちに真っ赤になっていく。
小絵も見ると小絵も同じだった。