唇を噛んで、下を向く。
そこには踏みつけられた草があった。
まるで何かに耐えるように。
それはどこが皐に似ていた。
「小絵は“優しい”から“好き”になっただけ。それは本当の“好き”じゃない。だから俺は小絵の気持ちには応えられない。ごめんな」
皐が出した答えは、小絵を突き放す答えだった。
「どうしても?ダメなの?皐が昔のこと話せなくても支えるよ?それくらい…あたしは…」
「俺は幸せになれなくていい。だから支えは必要ない。小絵は違う人を支えろ。例えば…俺の親友とか。小絵をずっと前から好きな人とか」
「…えっ??」
すると皐は私たちが隠れていた陰へ視線を向けた。
バレた!!
きっと皐は随分前から知っていたのだと思う。
あの不適な笑みがそう語ってる。
「皐の奴…今余計なこと言ったな…」
それが皐の優しさだった。