乱れる髪の毛から覗くのは焦りを隠しきれない少年。
大きく呼吸をして机の間をすり抜けて私に近づく。




「どうかしたの?」




「昨日小絵が言ってたこと冗談だと思ってたら…アイツ本気だった。皐を裏庭に呼び出した…」




「…そうなんだ」





不思議と平気だった。
いや、違うかも。
ただのやせ我慢。




「とにかく!来て!」




そう言って弘樹は私の腕を掴み足早にどこかへ向かう。
それに着いていく私。
向かう場所は分かっていた。
だって心配なんでしょう?


必死に向かう弘樹の背中を見ていたら何も言えなかった。



人気のない裏庭は、まさに告白スポット。
みんなよくここで告白するのかな?
白い壁に相合傘が書いてある。私がそれに見とれている間、弘樹はその先の光景に見とれていた。


そこには皐の目の前に立つ小絵がいた。






皐は自分の幸せよりもまず人の幸せを考えていた。
あなたは16歳だったけれどもう大人だったのかな。