当たり前か、私と同じ場所に帰るのだから。
「ねぇ、何で黙ったままなの?不気味なんだけど」
定期券を通して後ろを歩く皐を見て言った。
皐は隣の改札口から出ていく。
何か腹立つ。
無視はないでしょ。
「ちょっと!聞いてんの?」
カッターシャツを掴み、皐をストップさせる。
皐はゆっくりと私を見下ろし、小さくこう言った。
「…今日夜8時ベランダに集合。忘れんなよ?」
「えっ?」
ただそれだけ私に告げて足早に歩いていく皐。
意味がわからない。
なによ、それ。
それだけ伝えて本当に私が行くとでも思うの?
夜8時にベランダで何が起こるっていうのよ。
知りたかったら来いってこと?
あなたの心が覗けるなら、私は行くわよ。
行ってあげるよ。