どうしてだろう。
私は先の分からない道の入口に立っているのかな。
進む道は真っ暗でそのうち挫折して死んじゃうのかな。
真っ直ぐ歩いてくる皐を見てこう思った。
きっと皐は自分で出口を見つけるだろう。
私は無理だ。
皐は授業中で使っているグラウンドを堂々と歩いてくる。
注目の的。
きっとそんな状況に彼は慣れている。
飄々と歩く皐が嫌みに感じないから。
「さっつきー!おはよー!!」
小絵が大きな声を出して名前を呼ぶ。
その声に反応する皐。
ゆっくりと体がこちらに向けられる。
どうしよう、目が合わせられない。
「…おはよ。楽しそうだね、体育」
「楽しいよー!今日テニスなの。皐は授業出ないのー?」
「出ないよ?だって僕、軟弱ですから?ボール当たると骨折れちゃうの」
笑い声が広がる。
皐が言っただけで周りが笑う。
不思議な魔法。