強くなりたいと願ったのなら強さが表れる。
人間はそんな単純に構造されているんだ。
私はまだ子供だったからそんなことまで知らなかった。
人に触れ、人に関わり、人を愛したから分かったんだ。
「そっか…いつか伝えられるといいね。応援するよ」
「ありがとう。妃菜子ちゃんに話せて良かった。また相談にのってね」
なんかすごく複雑。
弘樹も応援するって言ったけど、小絵も応援するって言っちゃった。
どうしようかな。
神様、私は二人の恋を遠くから見つめていればいいですか?
「…皐。」
ぼそっと小絵が言った。
小絵を見るとみるみるうちに頬が赤く染まっていく。
何かに似てる。
あ、弘樹だ。弘樹も今朝こんな顔していた。
小絵の視線の先にはあの人。
先ほどまで騒いでいた周りも静かになる。
きょろりと辺りを見るとみんなの視線は皐に向けられていた。
王子様の登場です。
みなさん、拍手を。
そんな冗談はやめておくよ。
ねぇ、皐。
私はあなたの唇の感触が忘れられないの。